レストア物語ヘッダー
+ No.10 + 「エンジン補機類」


不動だったミッションのバラしは終わったから、次は状態が非常に気になっていたエンジンをチェック。
動くかどうかクランクシャフトに工具を掛けて回してみたところ、
適度なフリクションと共にインテークマニホールドから“シュポシュポ”音が聞こえてきた。
こいつはシリンダー内の空気が圧縮されている音か。
良い感じなので、ヘッドカバーを外して再びクランクシャフトを回してやると、
ロッカーアームがカタカタと動くのが確認できた。

画像:01 表面に薄っすら錆の浮いたロッカーアームと
黒い乾燥気味の油膜が付着したバルブスプリング。


たぶんエンジンには大きな問題が無いんじゃないかな、ひょっとしたらシリンダー部はバラさないで
済むかもしれない。 安心したところで、エンジン周辺の補機類等から手を付けることにした。


まずはスタータ。
マグネットでリダクションギヤを押し出すのではなく、人がレバーを介してギヤを噛ませるタイプ。
分解してコイルからアーマチャーを抜いて点検、特に問題は無さそうなので清掃と塗装のみ。
接点部は導通不良を起していたためバラして修正、銅製の接点もヤスリで磨いておいた。
腐食したカバー部と本体の錆をエアブラストして黒塗装、噛合いギヤ部の油泥を除去してグリスアップ。

画像:02 画像:03
ビニールテープが巻いてあるが大丈夫か? 中まで全部バラバラに
画像:04 画像:05
接点部の導通不良も解決 ふーん、日本電装製か


燃料ポンプは頭の蓋を開けてから内部を覗き込んだところ、乾燥した燃料の成分らしき物が
堆積しているのを見付けた。 予想通りで驚かないが、掃除だけで正常作動するかはちょっと心配。
クラブ所有のコニーは全てこのダイヤフラムがダメになってるから、こいつも同じかも。
分解して内部錆除去と外部清掃を完了、ついでにエアブラストもしてしまえ。

画像:06 画像:07
外したままの燃料ポンプ 強いガソリン臭がする粉
画像:08 画像:09
ダイヤフラムは再使用できるのか? こいつはミクニ製ですな


エンジンへの吸気管もエアブラストして塗装。
排気管は内径部のカーボン堆積除去後、エアブラスト後に耐熱ペイント。

画像:10 画像:11
吸気管は内側までエアブラストしてみた 排気管、左が再生前で右が再生完了


キャブレターは外部をワイヤーブラシで汚れ除去後、分解してフロート内部を清掃。
こいつも燃料の成れの果てである堆積物で満タンだったから、
エアジェットを全て取外しキャブクリーナーで詰りや汚れを除去。

画像:12 画像:13
画像:14 画像:15
フロート室内には乾燥した燃料が堆積 ジェット部分も全て外して清掃完了


オイルゲージはアルミ製のキャップに鉄製のゲージ部が鋳込まれている構造なので、
アルミ部はピカールで磨いて ゲージ部はエアブラスト。
画像:16 錆取り後のプラサフ塗装ができない場所なので
エンジンオイルを塗って防錆処置。


ディストリビュータは樹脂部分のキャップは磨くだけ、本体はエアブラスト後にプラサフ塗装。

画像:17 画像:18
もちろんコードは使えません 定番の日立製ディストリビュータ


エンジンのシリンダーヘッドを覆うカウリングも油泥を除去。
但し右側については”ひしゃげ”ていて要板金、原型が不明なほどなんだけど、さてどうしたもんだろか。
こいつも下側からの無理な力による変形で、板金ハンマーとペンチを駆使して形を整えて、
一部破断した部位は溶接機を使って、なんとか見られるようにした。
エアブラスト後にプラサフ塗装したら、ひしゃげの痕跡は無しに。

画像:19 画像:20
右側はベコベコ、しかも泥油がゴッテリ 板金して形を元へ戻し、清掃を完了
画像:21 画像:22
なんとか見られるようになった 吊るして乾燥中


なんとなく曲がってるように見えるプロペラシャフトもやっておこうか。
先端のスプライン部からカーボンや油を除去したら、スプラインが偏磨耗しているのが確認できた。
おまけにS字に曲がっているじゃん。
曲がったまま高速回転しながら摺動すりゃあ、そりゃあ偏磨耗もするわねえ。
S字曲がりは歪修正機で矯正してもらうことにして、プロフェッショナルへお願いした。
結果は1/100の精度で完了。最近の車は1/1000の精度だけど・・・
えーっと、カタログ記載のエンジンMax回転は4800rpm、トップギヤ比の1.14から
プロペラシャフトのMax回転は4200rpmってことになるから、
今どきの高性能車がMax9000rpm以上のに対し1/2以下の使われ方か。
まあこの程度の歪なら問題無しとしておこう。エアブラストしてからプラサフ&銀色塗装して完成。

画像:23 画像:24
画像で見ても曲がっているのが判る 曲りは修正済です


補機類や周辺部品は一通り終了、これで落ち着いてエンジン本体へ取り掛かれそうですな。



つづく

+ Back + 第10回へ 第12回へ