「箱の中身は？」

引っ繰り返したミッションケースの中から出てきた液体は、透明から白濁へ、そして粘度のある茶色い物がドロリ。

水と混ざったミッションオイルの成れの果て、 こんなもんで“ちゃぷちゃぷ”潤滑させてしまったぞ。

箱から中身を出すには蓋であるギヤボックス・バックカバーを開けなければ。
それにはプーリとフランジカップリングが邪魔。

邪魔なものを外そう	上がプーリ、下がゴムカップリング付きの フランジカップリング

メインシャフト後端に締付けてあるプーリは、ナットのカシメを外してから取外し。
デフドライブシャフト後端のフランジカップリングの方は、ゴムカップリングを取外したところで
顔を覗かせたナットを見て手が止まった。
ナットは23mm幅、しかしフランジカップリングの奥に沈んでいて緩めるのにはディープソケットが必要、
しかしそんなもん持っていないぞ。
年度末でクラブ部費が尽きていて数千円の工具を購入する資金が無い、次年度の部費が貰えるのなんて
待ってられないし、さてどうするか。

じゃあ、技能職のプロフェッショナルにお願いして手持ちの工具を改造してもらっちゃおう。

フランジカップリング締付けナット部を寸測	工具を2個1（ニコイチ）にしてディープソケット完成

“2個1スペシャル”でフランジカップリングを抜き取り、バックカバーのボルト6本を抜く。短いボルトには赤でマーキング。
これで蓋が開くはずだが、バックカバーを持ち上げてもデフドライブシャフトが同時に持ち上がってきて外れず。
整備要領書の断面図と部品カタログをニラメっこして、プーラーをシャフトに掛けて締込んで分離に成功。

箱は開いた	ガスケットは破れちゃった

さて中身をどうやって出そうか、取り出す順番は？

断面図で見ると簡単そうだけど。 まずはギヤシフタを外した方が良さそう。

ギヤを抱え込んでいるギヤシフタを外すため、2本のシフタガイドを抜いてしまうか。
ボルトを使ってシフタガイドを抜き、自由となったデフ・ドライブシャフトを引っ張り出す。

ロー＆リバース・スライディングギヤとセカンドギヤも一緒に出てきた

次にロー＆リバース・ギヤシフタを抜く。


トップ＆セカンド・ギヤシフタを抜く。

根元に錆泥が付着しているけど、機能的に問題がありそうな部分は無いみたい。

トップ＆セカンド・スライディングクラッチを取出す。


残ったトップギヤを取出し。ギヤ端面に偏心した円形溝あり、油導入溝のようだ。


鉄製と銅製のスラストワッシャー取出し、これにも油導入溝。ギヤ内径部を潤滑するためか。


デフ・ドライブシャフトから、セカンドギヤとロー＆リバース・スライディングギヤを抜く。

分解済みの部品を並べてみた	組立てるとこんな感じ

箱の内側には、くっきりと見事な“喫水線”が。

ここに油面（水面か？）があったのか。

リバース用のアイドルギヤを取出し。

歯面が腐食している	相手ギヤと噛合う先端部には欠けも

残っているメインシャフトは箱の出っ張りと干渉して抜けず。
フロントベアリングカバーを取外すしかないみたい。

断面図では簡単に引き抜けそうなんだけど。

ガスケットを慎重に剥してフロントベアリングカバー取外し、メインシャフトの抜きを完了。

フロントベアリングカバー	メインシャフトにも歯面に錆が発生

ベアリングは抜かず、ギヤボックス内の油を拭取り。

ドンガラとなった箱	圧入されたベアリングはそのままにしておこう

これでミッションの分解は終了。

箱から取り出したギヤトレーン系。 レイアウト通りに組合せてみました。

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まだまだ続く。
　

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