レストア物語


No6.駆動系の分解清掃

〜 駆動系の切りはなし編 〜

前回までの作業でエンジンのアルミの部分が半分ぐらい見えてきた(まだまだ泥と油で真っ黒)グッピーのエンジン一式ですが、ここで作業の効率を上げる為に、エンジンとミッション(トルコン+前進後退1段ずつ)を切り離す事にしました。

トルコン本体とエンジン側のプレートは6ヶ所ボルト止めされていて、エンジンを手で回して位置を変えながら、作業穴よりボルトを外すのですが、何しろエンジンが固着しているので、作業穴から外れるボルト以外はスパナを回すスペースがなく、このままでは外せません。どうしたものか試行錯誤しているうちに何日過ぎていったか分かりません。しかしいろいろやってみればなんとかなるもので、ある日思い付きで、短いスパナ(半分に切っただけ)を作り隙間から差し込んで何とかボルトを外し駆動系を切り離す事が出来ました。

きれいにして組み立てた後の駆動系 矢印が外れなかったボルト 切ったスパナ


〜 駆動系の分解清掃 〜

とても小さい駆動系一式。さっそくバラしはじめます。グッピーの駆動系は前から、トルクコンバータ部(*1)、ギヤ部(*2)、デファレンシャル部の3つに別れていて簡単に3つの部分に分かれます。内部はサビやギヤの欠けもなく程度は良いので無理に分解はせず、そのままで洗浄後元どおりに組み立てた方が良いと判断し、ブレーキクリーナーやキャブクリーナーを使って油汚れを奇麗に落とし、元どおりに組み立ててとりあえず完成としました。

ばらばらにした駆動系

(*1) トルコン(トルクコンバータの略)
よくトルコン車とオートマチックトランスミッション車(AT車)の事を言う人がいますが、この部品の名前が元になっています。役割は@クラッチの代わりAエンジンの力を増幅する の2つがあります。
 内部は扇風機を2台向かい合わせに置いたような構造になっていて、片方のスイッチを入れるともう一方はスイッチを入れなくても回りはじめます。この場合は空気によって間接的につながっているだけなので、スイッチを入れていない側を手で止めれば力は加わりません。(つまりクラッチが切れた状態になる)
 役割のAは説明している私もよく分かっていないのですが(笑)、2台の扇風機の間にもう一枚別の羽根があり、スイッチを入れてない側が受けた風の一部をはね返しこの羽根を回す事により力が増幅される様です。
 このAの役割のおかげで200ccのエンジンでグッピーは走れるようになります。(スピードは出ませんが・・・)
(*2) ギヤ部
現在のAT車は4速や5速になっており前進4(5)段、後退1段になっていますが、グッピーは前進1段、後退1段というギヤ構成になっています。この為不快な変速ショックもなく快適なのですが、力が必要な時に低いギヤを選んだり、高速で走る時に高いギヤにしたりできないので、おそらく停車からの加速は亀の様で登坂は人にも抜かれる程度の速度しか出なかったのでは?と思われます。

95年6月にグッピーを発掘してきてここまでで2年半かかりました。
レストアは焦らず慌てず、気長に進めていくのが「いい仕事」をするコツではないかと思います。(・・・いいわけ)

さて、次はいよいよ問題続出のエンジンです。

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