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「切り貼り」 |
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車体修復は大物のキャビンに取り掛かる事となった。
程度良好と言っても錆が無いわけでなく、ちゃんとフロアの隅は穴が空いてるし
サイドシル部だって穴だらけ。
さてこの穴埋めであるが、修復方法として3つの選択肢を考えてみた。
(1) 腐った所だけを切り取って、別の鉄板を貼りつける |
(2) そのままパテで埋めちゃう |
(3) パネル全体を作り直す |
やっぱり理想は
(3)なのだが、巷にはこれをやり過ぎると“レストア”ではなく
“レプリカ”になるぞいう論議があるそうな。まぁ我々の場合はもっと低レベルな話で
時間やコストではなく技術的にハードルが高過ぎるからパスとなった。
だけど
(2)でお気楽に塗り固めちゃうのも良心の呵責に耐えられないから、
無難な
(1)で進めるしかないね。
以前あるボディー屋さんのレストア現場を見学させて貰った事があって、
そこでは
(3)の手法で作業を進めていたのだが、当然穴が空いていない鉄板も全て新製していて、
用済みとなったオリジナル品を見た時、ずいぶん“もったいない”ことをするなぁと思ったもの。
でも後で聞いたら有名な博物館へ納める車だとかで、なるほどと納得したもんです。
という事で穴埋め作業開始。
グラインダーで除去しきれないような小さな錆穴は溶接機だけで退治、
やってみて初めて判ったのだが、溶接機での穴埋めは意外と簡単だということ。
試作から借用してきたMIG溶接機を操るのはド素人で、埋めるべき穴の周辺に
不要な溶接ビードを盛り上げてしまうのは得意、
その盛り上げたビードの山を更に溶接で繋げてやれば穴は塞がってしまうからね。
出来上がったゴテゴテのビード山をグラインダーで板厚まで削り込んでやれば完成。
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使用した主な得物は2点 |
腐って酷い所はグラインダーで切り落として新しい鉄板
(と言っても工場から拾ってきたスクラップ)で再生を進めるのであった。
例えばサイドシル部分だけど、ほら腐ってるからドライバーが簡単に刺さっちゃうもんね。
この患部をグラインダーで削り込んでみたのだが、削っても削っても錆が消えてくれない。
裏側を見てみたくなったので患部付近を切り開いたが、やっぱり駄目。
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<↓レストア部分拡大>
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ということで、ばっさりと患部を大きく抉って除去。
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<↓レストア部分拡大>
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切り取った部分と同じ形状の鉄板をスクラップから作製。
ちょっと大きめになったけど、後で切り落としちゃえ。
で、こいつを穴の端面に突き合わせてクランプで固定した後に溶接を始めるのだが、
しかし相手は0.8mmの薄い鉄板だから油断するとすぐ溶けて穴が空いてしまう。
穴を埋めたいのに空けてしまうなんて本末転倒な事をしないよう数十ミリ間隔でチョン付け。
全周のチョン付けが終ったら残った部分を溶接で繋いでやるんだけど、
薄い鉄板が相手だというのを忘れないように素早くね。
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<↓レストア部分拡大>
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溶接が終ったら盛り上がったビード部分をグラインダーで削り落として完成。
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<↓レストア部分拡大>
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と、上手く完成した場合ばかりじゃなく鉄板を溶かして穴を空けてしまうこともあったが、
そんな時には穴の周りをチョン付けで盛り上げてやり、その盛り上がり同士を溶接で繋いで塞ぎ
何とかしたのであった。
この頃の写真はあまり残されていないが、時間に追われていたせいか?
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取り敢えず、つづく