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+ No.12 + 「錆取り板金」


上手くいったフードの次は、難しそうなキャビンやルーフを先送りにして、
状態が良い簡単そうなやつから手を付けようかな。

バラバラに分解できた荷台が扱い易そうなので、荷台の床部分から始めることにした。
床に腐食による穴空きが無かったのは奇跡的だったかも、だって魚屋さんとかが使ってたサニトラなんかで
荷台がグズグズの酷い錆で崩れ落ちそうなのを見掛けた事があるからね。
凹みは有るけど荷台の床ということで少々の事は無視しちゃって板金は無し、専らグラインダーで錆を
削り落とす作業、削るだけ削って終わったところから錆の再発防止にプライマーを吹き付けていく。
昼休みの作業終了前にプライマーを塗っておけば翌日の昼休みはプライマーの乾燥を
気にせずに進めていけるので効率が良い。床は1週間程で完成、次は荷台のサイドパネルや後部扉部分。
ここも幸いにして腐食による穴空きや大きな凹みが無かったので、まずはグラインダーで軽く錆を落とし
その後プライマーの吹き付け。しかしさすがに意匠面であるボディーパネルの曲面、プライマーの
グレー色になると“えくぼ”である凹みが見えてきてしまう、そのままでは「みっともない」ので
見付け次第ハンマーでちょいちょいと裏から撫でるぐらいに軽く叩き出してやる。

ボディ
“えくぼ”退治後だけど、どうかな?

フード板金の経験が生きていて仕上がりは上々、と言いたいところだけど悲しいかな素人板金では
完璧な面には程遠い。完璧な面って何かと問われても困るけど、光を面に当てた時にハイライトが通るというか
面に写り込んだ物が歪み無しに見えるというような仕上がりになる事なんだよね。
最近の日本車じゃあ皆無だけど、ボディーにガードレールみたいな真っ直ぐな物を写してやると、
大きなボディーのパネル部分に写ったガードレールが歪んで見える車もちょっと前まではあったからねえ。
余談だけど、板金面を検査するプロフェッショナルな職人は目で見ても判らない歪を手で触って
確認するんだとか。軍手を嵌めて鉄板を撫でるそうなのだが、軍手が一枚では判らないそうで
軍手を2枚にしてやると判別できるんだとか。凄いねえ。
我々のはそんな仕上がりには全く及ばないどころか誰が見ても波打ってるのが丸解りなレベルなんだけど、
まあ昔のプレス技術ではきっとこの程度の仕上がりだったさ、なんて勝手に納得(自己弁護か?)して
完了としてしまった。
で、完成した荷台の後部扉は、これ

後部扉表 後部扉裏

荷台部分のプライマー塗りが完成したので下塗りとして赤茶ペンキを塗りたくった後に
仮組みを行ってみた。大きな形が出来てくると、完成したみたいで嬉しいねぇ。

仮組み

外回りの鉄板ついでに、同じ様に進められそうなドアに取り掛かる。
ドアのASSYから内貼りを剥がしてレギュレーター部品やガラスを取外してからピラー部分も分離。
残ったドアハンドルもパーツリストを見ながら分解し、鉄板部分だけにすることにした。

ドア分解1 ドア分解2

しかし内貼りの芯材として木製板が使われていたなんてね、もう湿気を吸っちゃってヘロヘロで
どうにも使い物にならない。ホームセンターで代替品を調達するか。
ドアに取り付けられていたモール、こいつはなぜか鉄板で作られていてボルト&ナットでの固定。
今なら樹脂が当り前だし両面テープでの固定が一般的だから奇異に思えてしまったけど、当時は
一般的な構造だったのかも。残念ながら薄板で造られたモールの状態は腐食穴多数で良くない、
溶接での穴埋めを試してみたけどどうにも素人さんの手に負える代物ではなく、作り直しになりそう。

内貼り モール

全ての付属品を取外したドアパネル、荷台同様に表面錆をグラインダーで除去作業。
しかしこのAF3は前回レストアしたAF7よりも7年古い製造なのに、状態は格段に良い。
だって腐って穴だらけのドア下半分を切り取って造り直す事となったAF7とは違い、
錆取りだけで済んでしまうのだから。
削った後はプライマーを塗って、気になる凹みをハンマーで叩き出して終了。

ドア

キャビン内も状態が良さそうな簡単な鉄板部品から取り掛かろう、
座席の下にある枠は錆取りとちょっと板金を終えてプライマー塗装で完了。
下塗りの赤茶ペンキを塗ってみたが、これなら完成品状態だね。
この枠はミッドシップエンジン上に人を乗せる為の土台だから、普通の車
(FFやFR、RR車)には存在しない部品です。

枠表 枠裏

簡単なところから始めたから一気に進捗した感じだけど、いよいよ大物に取り掛からなくては。
穴だらけのキャビンと所々凹みが目立つルーフがお待ち兼ねなんだよね、特にキャビンときたら
サイドシル部は腐ってるし、フロアも所々小さな穴が空いてるから手強い。
どうしようかと思案に暮れて微動だにしないクラブ員達を瞬きもせずに見詰めているカニ目コニーであった。



つづく

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