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+ No.13 + 「新車入荷?」


設定された完成目標まで3ヶ月を切ってしまったが、焦る発起人氏以外はマイペースなクラブ員達、
まあ何とかなるんじゃないの、なんて発起人氏が言うところの「ノー天気」な状態は相変わらず。

そんな雰囲気の中、新たに1台の車がクラブ所有車として加わった。AF11コニーワイドのトラック。
なんとこれが左ハンドルで、しかもこの当時で既に25年以上も前の車なのに走行距離が僅か160マイル、
およそ250Km程だから殆ど新車だね。
実はこの車、愛知機械の永徳工場に保管されていたのだが、1台で置いておくより
仲間と一緒にしておいた方が良いだろうと移動してきたのである。
ついでにクラブで面倒を見させてしまえという思惑も有ったとか無かったとか。

そもそもこの車が我社にあった理由なんだけど、もちろんラインオフ直後からではなく数年前からだそうな。
名古屋港から船積みされて海を渡って米国へ上陸した後、何らかの事情により20年間も倉庫で眠っていたのを
日本の業者が逆輸入して、それが販売されているよという記事が雑誌に載ったとか。
じゃあそれを愛知機械工業が買い戻したのかって?いやいやちょっと違ってて、1991年頃に
雑誌に掲載されたその記事を読んだ従業員から、生まれ故郷に里帰りさせようとの提案が出されて
業者から購入するために社員の自主的なカンパが行われたとの話。
古くからの従業員の人にこの話をすると「俺もカンパしたよ」なんて答えが返ってきたりする。

里帰りした時には新聞にも掲載されたほど盛大な式典が催されたようで、その時は構内を元気に
走り回ったのは言うまでもない。

記事
「コニーワイド」里帰り式典(平成4年5月8日)
昭和45年製造、アメリカに輸出され、倉庫に眠っていた「コニー360ワイド」を従業員のカンパにより買い戻すことができた。

しかしその後は走る機会も無く倉庫の奥で再び眠りに就くうち、遂に自走できなくなってしまった。
我々も自分達が復元したAF7で経験済みだが、1年間も放置しておけば十分“お不動さん”(業界用語か?)、
バッテリーが放電しスターターが回らなくなるとか古くなったガソリンでキャブが詰まるだけでなく、
手強いのはブレーキシューがドラムに貼り付いてしまいホイールが回転しなくなってしまう事。
このシューの貼り付きは性質が悪く、車を押しても引いても微動だにしなくなり車を移動させるのも一苦労、
だから永徳工場から港の部室へ移すのは大変だった。

無理矢理引き摺って運ばれてきたワイドトラックは、部室へ搬入後すぐにホイールが回るようにだけ修復された。
こいつの修復はドラムを外せば簡単に治るのであるが、ドラム外しはとっても難かしい。
ドラムは駆動軸とテーパー面で勘合されているため、ハンマーでショックを与えたくらいでは外れないのである。
プーラーを掛けて無理に外そうとしたら割ってしまったという話を聞いた事があったから、社内で調達した
巨大プーラを使って外した時の、「バーン」というテーパー面から外れる時の音を聞いた時は
割れてしまったのかととても焦った。心臓に悪いよ、ホント。
因みにサイドブレーキを引きっ放しにしなければ、シューの貼り付きなんざ起こらないのだが。

じゃあここで、その“新車”状態を公開しておこうかな。

上
後ろ 横 前
荷台に薄っすら錆が浮き出てるが概ね良好。

ドア シート
ドアやシートには、まだビニールが貼られたままなのが新車っぽいね。

運転席 メーター
オドメーターは未だ162マイル、実走行距離らしい
エンジン シャシー
エンジン部分も綺麗。 もちろんシャシーも黒々

こいつが加わったおかげで、AF3(レストア中)、AF7、AF8(まだ未着手)、AF11と愛知機械工業が自信を持って
世に送り出した軽4輪車の殆どが揃ったわけだ。



さて、AF3の作業を続けるか。

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