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+ No.11 + 「スクラップ漁り」


AF7のように錆びて腐り落ちているところが無さそうに見えたけど、サイドシルや
フロア端の、いわゆる水が溜まり易いところについては、穴が開きそうな状態。

+ Cabin +
↑ フロアの端っこには穴が
板金ハンマー  →  
+ Hammer +

ちょっと削ってパテ盛って色塗ればおしまいなんて安易に考えていたけど
鉄板の切り貼りはもちろん、ハンマーを使っての叩き出しとかも必要だね。
叩き出しなんてやった事ないけど、上手くいくのかな。
用意した道具は、板金ハンマー

用意した板金ハンマーは、当り面が傷だらけ、
凸凹のままだと打痕を付けるために鉄板を叩いてることになってしまうから。
グラインダーで凹みを削り取りペーパーのヤスリで磨いて面を仕上げておこう。

ボディーパーツを修復するのは初めて、キャビンやドアの様な大物は後回しにして
面積が小さくて破損具合いも少ないフロントフードから試してみるか。
腐り落ちた部位や裂けた所も無い。試しに小さな凹みを
裏から恐る恐る板金ハンマーで叩いてみたら、まあなんとか形になった。
面の仕上げは後でパテを盛ることにしてるからこれで良しとしておこう。
しかし裏面に2本あるはずのレインフォースが1本しか無いぞ、しかもブラブラ。

+ Hood + + Reinforce +
フード裏面 レインフォース

レインフォースの目的は薄いフードの剛性を上げる補強材なのだが
ブラブラしていた切れ端は板厚が0.8mmであまりにも貧弱、そこで車体の設計をしている
クラブ員の一人から剛性の高い仕様で造り直そうという提案が出された。
もちろん、即採用。

しかし材料をどうするかだ。
どうせクラブではシャーリングやブレーキプレスを所有してないから、
鉄板の生材を買ってきても金バサミとグラインダーで切断したあと板金ハンマーだけで
形状を造り出さないとならないわけで、そんな加工をするには「10年早い!」って感じ。
うーん、となると最善の調達&加工方法は・・・。
そうだ、隣の車両生産工場にあるスクラップパレットを漁りに行こう、何かあるかもしれん。
嬉しいことに収穫は有った、廃棄されていた車体のレインフォース部材をいくつか拾えたし、
その中には1.2mm厚の丁度切り出したらそのままフードの補強材として使えそうな形状の
物もあったから。
更にもう一つ、良い物を拾ってしまった。それはゴムハンマー。
以前に車両の生産ラインで板金修正を見ていた時にこいつを使っていたのを覚えている、
なぜ捨ててあったのかは不明だが有り難くリサイクルさせてもらうことにした。

+ Hammer + + Hammering +
↑ ハンマリング
 ← ゴムハンマー

これを使って鉄板を叩き出す場合、かなり大きな力で叩いても局部的に変形せずに大きな部位が
全体的に少し膨らんでくれるのさ。だから大きく凹んだ「ドカン傷」の復元には最適。

切り出して造ったレインフォースをフードの裏面にブチルシールにて接着し、端末を
チョン付け溶接して完成。もちろんブチルシールなんか当時は使ってなかったけど、
そこは現在の車と同構造を採用して、仕上がりはバッチリ。

+ Hood +
フード完成

それにしてもこのフロントフード、変な構造。現在一般的な構造は左右にヒンジが付いているんだけど、
このAF3は後端に2本の棒が出ていて、それを車体に突き刺すだけ。
つまりフロントフードを開けたまま保持する機構が無いから、開ける度に取り外さなければならない
「脱着式フロントフード」という事になる。面倒臭いなあ、でもエンジンが無いから開ける機会は
バッテリーとタイヤの交換時だけだから許されたのかな。

クラブ員が一人、小さな部品の板金作業をちょっと経験したことがあるだけの状況では
この先が思いやられるが、目標が決まった以上はとにかく進めていくしかない。
悲壮な覚悟(?)のクラブ員は、今日もハンマーを握り締めるのであった。



つづく

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