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「目標設定」


ボディーを降ろした後のシャシーは例によって泥と油まみれ、こいつの清掃から始めるかい。
AF7の時と違って今回は動く車なので機関部分の分解整備は不要、
清掃もフレームから部品を外さないままで行う事で十分じゃないかな。


フレームに固着している泥と油はワイヤーブラシを何本も駄目にしてしまった前回の教訓から、
新手法を採用。ペンキ塗り替え時に古い塗料を削り落とすスクレーパーという道具を使い、
固着部を削ぎ落した後に油分はウエスを使って丹念に拭い取り、洗剤で残った油分や泥を洗い流す。
乾いた後は表面を軽くグラインダーで削ってやれば、はい出来上がり。
前回に余った防錆塗料(茶色いやつ)を下塗りし、黒ペンキで上塗りしたら完成。
エンジン廻りは洗うわけにはいかないのでスクレーパー後はウエスで丹念にふき取り、
燃料タンクとマフラーは車体から降ろして清掃。えっ、外しちゃったんだ。
簡単だったから外しちゃったみたいだけど、自由にやって良いからしっかり磨いてね。



そう言えば、そんな自由気ままな作業を進めるうちに、自然と決まったクラブ方針があったっけ。
その方針とは、「好きな時に」「やりたい人が」「やりたい事を」「好きなだけ手を出す」ということ。
やっぱり「強制」「拘束」「押し付け」「無理強い」では長続きしないだろうから。


シャシー清掃の途中で、邪魔になるタイヤも外そうかという事になり、メガネレンチを片手に
左側のホイールのナットを緩めようとした時だった、何かがおかしい。
右側は簡単に緩んだのに、左は何故か緩まない。「あっ、ちょっと待った!!」
鋭い警告の声、発起人氏だけが何かに気付いたみたい。
整備要領書を慌ててめくったあと、「やっぱりね、あぶない あぶない。」

<画像をクリックすると拡大表示します>
右ネジ?左ネジ??

発起人氏がナットを取り外し、それを見るように促された。なんだかネジ山の切り方が違うような気がする。
「そう左側は逆ネジになってるんだよ」と発起人氏。
逆ネジって?そう、その名の通りネジが逆になったボルトやナットが有るんだよね、知らなかった。
普通のネジの場合は右に回すと締まり、左へ回すと緩るむんだけど逆ネジはその反対、
だからホイールナットを緩めるために左へ回そうとして、更に締め込んでいたのさ。
ヤバかった、ねじ切ってしまったら逆ネジのボルトを探すのは大変だっただろうからねえ。

しかし何で左側だけ逆なの?
緩める方向と回転方向が一緒だと回転中に緩んできてしまうという、物理の初歩の初歩だと発起人氏。
つまり左側のホイールを締めるネジはホイールが左に回転すると共に左へ回されようとする
力が発生するから、左へ回して締め付けるネジ(逆ネジ)を使ってやると緩まないということ。
なるほど。まだトラックとかでは使われているらしいけど最近の車は、部品精度や材質の向上と
コスト低減で逆ネジは姿を消したみたいだが、昔は当り前のアイテムだったとか。
そう言えば換気扇や扇風機の羽根を、逆ネジで締めてある物もあったなあ。

左側ホイール 右側ホイール
左側に普通ネジを使うと、
ホイールの回転方向と
緩め方向が同じとなり、
緩みやすい。
逆ネジにすると・・・
 
右側ホイールは、
普通のネジを使っても
回転方向と締め付け
方向が逆で、緩み難い。
回転方向と締め付け方向が
逆となり、緩み難くなる。
最近の乗用車しか触れた事がない我々は、そんな物の存在すら知らなかった。
因みにAF7は左側も普通のネジだったしね。

無事にタイヤが外れて、アクスル部分も綺麗になった。
フレーム構造による単純なシャシーなので、お掃除も簡単にできてしまうのは、とてもありがたい。

まだ後の半分だけしか終ってないけど

シャシーが綺麗になり、いよいよボディーに取り掛かろうかという段となったところで
発起人氏から衝撃の一言が発せられたのであった。
「来年1月に横浜のイベントで御披露目しよう!」
あらら、早くも完成目標が提示されてしまったんだね。
しかしなんでそんな遠いところのイベントに出るの?ふーん、コニー愛好会から
一緒に出ようよとお誘いを受けたって・・・、あれれ ひょっとして、まさか。
いやいや、そんなつもりでAF3を愛知機械へ置いていったわけじゃあないと思うけど、
それにしてもタイミングが良すぎるかも。
イベントの詳しい内容は不明、搬送方法や遠征費用とかをどうするのか分からないけど
とにかくあと僅か9ヶ月しかない。果たして間に合うのか?



つづく

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