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「なぜか苔色」 |
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エンジンとミッションが完成したシャシー中央部の次は、リヤアクスルのある後部をやるか。
パーツリストを見てみると、シャシーに吊ってあるアクスルは簡単に降りそうな感じ。
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シャシーとアクスルの懸架部 |
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リヤアクスル部 |
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リヤブレーキのドラム部 |
まずはリヤタイヤを外そうとして、こいつもAF3同様に左側が逆ネジなのに気付いた。(AF3編の第10章を見てね)
忘れないよう、ブレーキドラムにマジックで書いておくか。
おや?ドラムの色が左右で違ってるのは何故だ?左側は黒っぽいのに右側は、苔でも生えたような深緑色。
正ネジが組付けられたドラムの識別だとしてもドラム全体を塗装してしまうのは大袈裟、オリジナルじゃないような気がする。
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忘れないよう逆ネジと記入 |
右側は深緑色、苔でも生えたのか? |
外したホイールナットを磨いたところ、それぞれ“L”と“R”の刻印があるのを発見。
これで正ネジ用と逆ネジ用の部品差異を識別するわけね。
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左右の識別が刻印で表示されていた |
メッキ風の銀色塗装で綺麗になりました |
シャシーからアクスルを降ろすためにリーフスプリングを前後で吊っているボルトを外して台車の上に載せた。
外したボルトやカラーの形状がそれぞれ違っているから、荷札を付けておくか。
アクスルからのリーフスプリング分離はナットが緩むのを嫌がり、エアレンチでも歯が立たず。
メガネレンチにパイプを差し込んで無理にトルクを掛けて、U字ボルトを変形させながらようやく取り外した。
8ヶ所のナットを緩めるだけなのに大汗掻いて1時間以上も掛ってしまったが。
このリヤアクスル周りの固定構造だけど、摺動部分には全てグリスニップルが設置されていて
定期的にグリスアップするようになっているのだが、ユーザがそんな面倒な事をするわけもなく
やはり全ての摺動部分が摩耗していてる。
ボルトの外側に嵌めるカラーは摩耗で破れているし、リヤスプリングストッパーという 鉄製の
ブロックに至っては、擦り切れて袋形状が完全に破れてしまっている。どうしてくれようか。
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カラーは途中で破れてます |
本当はおむすび型だったんだけどね |
まあなんとかなるでしょと気を取り直し、ブレーキの分解へ進むことにした。
締め込まれているセンター部のナットを緩めればドラムが外れるはず・・・、だけど外れない。
ああやっぱりね、例によってテーパ嵌合か。
プーラを直接ドラムに掛けたくないから、L字アングル材をホイールナットで固定し
そのアングル材をプーラで引っ張る事に。もちろんプーラを締め込んだだけで外れてくれるほど
甘くはないので、バーナーで炙ってプラハンマーでバンバン叩くと、バキーン!
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荷紐で拘束しました |
破損せず外れてくれて良かった |
外したドラムを左右見比べてみたのだが、表面の色以外は同じ部品としか思えないなあ。
ドラム裏側を見るとブレーキシューが当たる部分にも錆、ちょっとワイヤーブラシで削っておくか。
表面の錆も落してシャシーブラックを塗装。
ついでにドライブシャフト先端のネジ山が潰れていたので、ダイスでネジ山を修正。
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ワイヤーブラシで削って錆落し |
シャシーブラック塗装、苔色は再現せず |
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ネジ山をダイスを使って修正 |
ブレーキの構造はシューのライニングがドラムの内側へ押し付けられる普通のドラムブレーキ。
調整はシュー取付け用のボルトがカム形状になっていてアジャストでき、
ライニングとドラムのクリアランス保てる構造。
ブレーキプレートまで分解し、油泥は除去して錆はエアブラスト。
出ました、ブレーキシューから“コニー”の浮き文字。こいつにも色挿ししちゃえ。
しかしシューの材質がコストが掛るアルミなのは何故かな。 軽量化とは思えないし錆対策とも思えない、はて?
ライニングは4mm程残ってるから、張替えしなくても良いね。
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贅沢なアルミ製のシュー |
浮き文字には色挿しです |
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プラサフ後にシャシーブラック塗装 |
リヤアクスルはアクスルケースのオイルキャップを外して中を見ると光ったギヤが見え、
デフオイル抜くと黄色く透明度のあるオイルが出てきた。
アクスルケースの油泥と錆を除去して分解しようかとパーツリストを見たんだけど、
リヤシャフトを抜かないとケースを開けられない構造と解かり、ケースを割るのを中止。
どうするかを話し合った結果、デフからの異音は無く充填されていたオイルに異常無し、
目視確認したギヤも良好だった為、これなら問題無いと判断して分解しない事にした。
ということでアクスルケースにプラサフ塗ってシャシーブラックを塗装し完成。
リーフスプリングはバラバラに外して1枚づつ錆落し。
そういえば以前レストアしたAF7やAF3は ここまでバラさなかったような気がするが。
リヤアクスルを降ろす時に外したボルトやカラー類、形がバラバラなのは摩耗のせいだと解ったんだけど
カラーとリヤスプリングストッパーは工作機械を持っていないため自分達の手には負えないので、
社内のプロフェッショナルにお願いしちゃうことにした。
リヤスプリングストッパーはワイヤーカットで、カラーは旋盤で。
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ワイヤーカットで新設 |
カラーは旋盤で削り出し |
変形して再使用が不可となってしまったU字ボルトは、これって奇跡か?と思えるような類似品がホームセンターで見つかった。
材質はステンレスで単価は高かったものの形状は同一、こいつは助かりました。
U字ボルトの当金は、磨いて塗装し再使用。
これで問題無しになったと安心していたんだけど、リヤスプリングの座金が
どうにもおかしいのに気付いた。0.8mmの厚みなんて、ちょっと薄いんでないかい。
やっぱりね、調べてみたら2.3mmの板厚が正解でした。
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ボルトやカラー類 |
擦り減って0.8mmしかない! |
2.3mmの鉄板を入手して、ホールドリルで穴を空けて完成。
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鉄板とホールドリルを用意 |
ホールドリルで外径切削 |
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外径部を掴んで内径切削 |
バリ取り仕上げして完成 |
もう大丈夫かな、組付けてしまうか。
アクスルにブレーキプレートを組付け、シューボルトやブレーキカムにグリスを塗布して シューを取付け。
シューボルトを回転させてシュー位置を調整した。
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シャシーからリヤアクスルを降ろしたのは春だったのに季節はもう秋、
ずいぶん時間が掛ったけど とにかく完成した!さあ、次へ進もう。