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+ No.2 + 「お名前は?」


3人を乗せたトラックは都市圏の混雑を走り抜け、通行車両の少ない有料道路へと進路を移した。
ノンストップで300km走ったトラックも腹ペコみたいだし、そろそろお昼にしますかい。
サービスエリアで暫し休憩後、満腹となったトラックと共に紅葉が綺麗な山並みを背景に走行を再開した。

給油 高速

標高が高いから雪が降るかもしれないよ、先方さんから忠告されていた高原地帯は幸いにも雨、
 1週間後は雪で通行止めとなっていたから遠征を急いだのは正解だったようだ。

「キンコーン」数時間走ったところでETC車載器が料金所の通過を告げて一般道へ、数キロ走ると
綺麗に整備された道路が延びる地方都市の市街地へ入った。
大人しく走る“じもぴー”の流れに乗ってトラックを走らせながら何気に横を見ると、
国道に沿った鉄路には単行の気動車がのんびり走っていて、なんとも長閑な風景。

都市 単行

出発から8時間、遂に先方さんのお宅に辿り着いたのであった。

大きな敷地の一角に建てられた倉庫から既に引き出され、我々を待っていたその車は・・・

待受
おお凄い!!!で、お名前は?

そう、名前はAA27型ヂャイアント・コニーと申しまして、愛知機械工業として
初めて生産した軽自動車なんです。(生い立ちについてはAF3の第4章を見てね)
確か現存する実車はこの車を除くと2台だけと聞いたっけ、となるとこいつもまた“珍車”ですな。
しかし事前情報通りの良い状態だったので安堵、なんせ実車を見てビックリなんて事を心配してたからね。

まずはオーナーさんに御挨拶、そしてお礼を言ってから暫し談笑となった。
車を見ながらの立ち話が1時間以上は続いただろうか、突然の雨に急かされ積込みを開始。
凹んでいるタイヤの一本は裂けているようだが、チューブは生きているに決まってるさと
構わず空気を充填、もちろん予想通りに膨らんでくれたから一安心。

充填 準備

空気を入れて押してみたら、車輪が回って動いてくれた。おまけにハンドルも切れるから、
これなら2人で楽々押して行ける。うーん、駆動系の状態も良さそうな感じですな。

移動 積載

積込みも終り、宿となるホテルまでトラックで移動しようとしたところ、「うちの車を使って良いよ」と
オーナーさん。優しいお申し出に甘える事にして、土砂降りとなった雨の中を
オーナーさんが予約してくれたホテルへとなだれ込んだのであった。

翌朝、オーナーさんの元へ出向いて別れを告げ、往路を逆に辿るルートで帰途に着いた。
2日間の遠征で950kmを走破し155Lの燃料を消費、ということで費用請求は交通費の37,500円也。

港の部室へ戻ったのは17時過ぎ、夕暮れの中を作業灯に照らし出された三輪車をトラックから降して
そのまま部室へ搬入しようとしたのだが、考え直して屋外でお掃除してあげることにした。
水洗いするのは可哀相だから、埃を落とすだけにしておこうか。

降車 埃落

少しだけ綺麗になったAA27型ヂャイアント・コニーは、生まれ故郷の愛知機械工業で
後輩達との同居生活を始めたのであった。

搬送 搬入



次回へつづく。

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