レストア物語 |
ピストンがブラブラしているので、まずはこれを外します。外し方はピストンのピンの周りをバーナーであぶって熱膨張させ、ピンを抜き取ります。 |
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このピストンにはシリンダーとの隙間を埋める為に3本の鉄の輪 (ピストンリング)がついていて気密を保つのですが、外したピス トンは輪が完全にピストンに貼り付いています。「輪は外れるか な。」と少し力を入れた瞬間”パキッ”という音と共にあっけなく折 れてしまいました。「これでこのエンジンも終わりだ!」という考え が頭をよぎりますが、「2本あれば大丈夫だろう。」と楽天的に考 える事にしました。(後日、流用できる部品がないか調べたので すが、見つかりませんでした。) 残り2本を壊さず外す方法は・・・と考え、科学的?に外す事にし ます。カー用品店でキャブクリーナを売っていますが、これをもっ と強力にしたエンジンコンディショナーというものが、各メーカーの |
部品共販で売っています。(強力すぎるのか、カー用品店には置いていない。)これに浸けておけば、汚れが溶けて外れるかもしれないと思い、1本取り寄せてコップに溶液を入れてみます。強いアンモニア臭がして、まるで劇薬です。まさか金属まで溶かさないだろうなと思いつつ、恐る恐る1時間ほど浸けて引き上げてみます。表面のすすはきれいに取れているのですが、リングは外れる様子がありません。2時間、5時間、1日、2日・・・何の変化も起きません。ピストンが溶ける様子もないので浸けたまま放置する事にしました。(このまま2ヶ月程忘れていました。どうなったかは次回で。) |
いよいよセルダイナモが邪魔になってきたので、外し方を真剣に考える事にしました。エンジンの断面図をよく見ると、軸が斜めになっていてこれに圧入されているだけ(下のクランクの写真を見て下さい)のようです。専用工具とはただの長いボルトなのか?それならばと、何かの時に使えるかもしれないと捨てずにためてあった鉄屑をあさって細い棒を探し出し、10cm程に切って軸に入れます。この上からボルトを締めてゆけば外れるはずです。 壊さないように、慎重に回してゆきます。しばらくすると、ボルトが棒に触れるわずかな手応えを感じるようになりました。更にゆっくりボルトを締めてゆくと”バキッ”という音と共に拍子抜けするくらい簡単に外れてしまいました。こんなに簡単なら後回しにせず早くから外せばよかった・・・。 ついに邪魔なセルダイナモも外れたので、残りはクランクを取り出すだけです。クランクが入っている部分は2つ割りになっているのでボルトを外します。ところが、ケースをあけてびっくり!クランクは錆だらけ。ベアリングも錆だらけ。これではエンジンは回らないはずです。クランク部分はプレスによる圧入で非分解式。(無理に分解すると壊れてしまう。)これでやっとすべてバラバラになりました。 |
◆ クランクケース |
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前側(錆だらけなのはクランク) | 後 側 |
◆ クランク&ベアリング |
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エンジン前側より見たクランク | 錆だらけのベアリング |
続きはまた次回・・・お楽しみに。 |
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