「大試乗会」
そろりそろりとトラックから降ろされたコニーちゃん、
実は前夜まで必死の調整作業が続いていたのです。
組立てが完了してから御披露目までは僅か数日、
エンジンは半年前から復活していたしアイドリングだって安定していたので
楽勝かと思いきや、いざ発進となるとエンジンストップ。
クラッチを繋げて負荷を掛けると止まるって事は、キャブレターのせいか?
スロージェットをまわしての調整が深夜まで続いたのであった。
微調整を繰り返すうちなんとか走れるようになったが、速度計のMax100km/hなんて
遥か先、50km/hぐらいまでしか速度が出ない。
当時の軽自動車の実力か、それともシリンダー内のコンプレッションが足りないのか?
とにかく会社前の大型トラックやダンプが行き交う産業道路で走らせるのは難しそう。
まあこのままでも試乗会としては十分楽しめそうなので、これでいきましょうとなった。
トラックから降ろされるのを見守っていた来場者達は「おー、これか」「綺麗になったな」
と言いながら展示場所へ置かれたコニーちゃんに寄って来た。
昔懐かしい車に触れられるって事で異様な盛り上がり。
ドアを開けて首を突っ込みあちらこちらを覗き込んだあとは
運転席へ座り込んでハンドル握ってシフトレバーを動かしまくり。
「これ、運転していいの?」
ちょ、ちょと待ってね。試運転がまだ終わってないんだから。
当時開発や生産に携わった今や課長や次長の面々が、
はしゃいでいるような気がする。普段の硬い表情とは全く違うじゃん。
発起人氏が運転席に座って、旧車では当たり前である
エンジン始動の儀式を始めた。
チョークレバー一杯まで引いて、アクセルをペコペコペコと
3回程踏んでからスタータを回す。見事、一発でお目覚め!
バタバタバタバタと規則的な軽い音、調子は良さそう。
エンジンが少し暖まったらチョークを戻してやるんだけど、
空冷だから水温計は無い。エンジン音とチョークレバーを
少しづつ戻す「感」だけが頼りです。
昔は走り出すまでが一苦労だったってわけね。
暖気も終わり、発起人氏が試運転で体育館の駐車場を一回り。
キャタライザーの無い排気臭が懐かしいって!?
さてさて試乗会の始まりはじまり。皆が待ちかねた様に代わる代わる運転。
新しいおもちゃを与えられた子供みたい
あれ、なぜか運転している人の年齢層が高い。
なるほど、コラムシフトのM/T車を運転することなんて、今となっては皆無だからね。
シフトレバーを手前に引っ張り上に上げれば1速、そのまま下で2速、
3速は向こう側の上、4速はそのまま下へ。押し込んで下げればリバース。
これも旧車オーナや昔から免許を持ってる人にとっては当たり前ですな。
大試乗会は好評のうちに終了し、久しぶりに元の棲家である
港設計の車両調査室へ帰れるコニーちゃんであった。
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まだまだ続く
No.31
「お披露目会場」
No.33
「旧車イベントへ出よう!」