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+ 第8話 + 「塗装復元物語」



ブレーキ復元を完了しラインオフしてからは走行可能な状態を維持していたものの、
2006年に雑誌の取材で走らせて以降は出番も無くボディーカバーの中に収まった状態であった。

このままでは不動になってしまうからと思い立ち、1年ぶりに動かそうかと運行前点検をしたところ
問題を発見、ブレーキがペダルを踏むと床まで底付きしてしまうのだ。
お約束のフルード漏れですか、万全な修理をしたと思っていたけどまたマスターシリンダーなんだろうな。
ブレーキ以外は問題無さそうなので気を取り直してエンジンを始動、数回のクランキング後に
あっさりエンジンは掛かったのだが、何かが車の下からポタポタ垂れている!
あらら、これまた燃料ポンプからのガソリン漏れかい。
実はこのダイヤフラム式の燃料ポンプ、オリジナル部品をそのまま継続使用してきたんだけど
ガソリン漏れを度々起こすので、その都度ポンプの合せ面へシール材を塗布するという
“その場凌ぎ”で切り抜けてきたのだ。今回もシール材を塗り直してみたが、漏れは止まらず。
遂に根本対策をしてやらないとダメなのかも、当面は漏れを治すまでエンジン始動は止めておくかな。
ブレーキ液漏れと燃料漏れという2つの問題対策をどうしたものか・・・、解決策が思い付かぬまま
保留しているうちに、いつしかAF7コニーは長い眠りに付くことになってしまった。

それから数年もの月日が経ったある日のこと、なんとクラブへ待望の新人くんが加入!
Be-1が発表された年に生まれた彼らは、コラムシフトMT車もキャブレター車も運転した事が無いとか。
話しの流れから「じゃあコニーを運転してみなきゃね」と5年ぶりにボディーカバーを外すことに。
あれれ、なんか青いカケラが落ちてきた。嫌な予感。
こりゃあ酷い、外観塗装がちょっと大変な状態で特に左のフロントフェンダーなんか以前は一部だけだった剥れが
かなり広がっており、おまけに多数のヒビ割れが発生してしまっている。

落ちてきた青いカケラ 茶色い鉄板が見えちゃって悲惨ですな
落ちてきた青いカケラ 茶色い鉄板が見えちゃって悲惨ですな

あまりにもみっともない、ブレーキや燃料ポンプよりも手始めにこいつから修理しようと急遽方針転換。
というわけで、塗装の復元から着手することになりました。

さて塗装の修復をしようと決めたけど、どうすれば良いのかな。
まずは分解ってことでフロントフェンダーを車体から取外そうと、バンパー、ヘッドライト、ウインカーを外して
フェンダーを止めているボルト&ナットを緩めて車体から分離。

バンパー外しは新人くんの共同作業 構造が単純だから、簡単に取外し完了
バンパー外しは新人くんの共同作業 構造が単純だから、簡単に取外し完了

剥れ方が酷いから部分塗装じゃなく全面塗装をやろう、塗膜を全て剥がさねば。
浮いた塗装片を除去した後に残り部分をエアサンダーで削るが、粉が舞うだけでなかなか剥れない。
スクレーパーの方が良いんじゃないの、と使ってみたら大正解。

手でパキパキと剥がせる塗膜 スクレーパーで全剥離完了
手でパキパキと剥がせる塗膜 スクレーパーで全剥離完了

鉄板の表面をペーパーで水研ぎ、錆は薄ら膜になっていただけなので除去は簡単だった。
どうやら塗装剥れの原因は、鉄板表面を完璧に処理してなかったせいかもしれない。
2液硬化性のパテを練って患部へ。配合を間違えて固まらず失敗、再度練って塗り付け。

鉄板表面を水研ぎ、茶色が消えてきた パテ塗り中、けっこう楽しんでます
鉄板表面を水研ぎ、茶色が消えてきた パテ塗り中、けっこう楽しんでます

硬化したパテにペーパーをかけて表面を均し、プラサフを吹き付けたところで作業は終了。

パテの盛りがちょっと足りなかったかな 錆の発生防止でプラサフを塗布しておこう
パテの盛りがちょっと足りなかったかな 錆の発生防止でプラサフを塗布しておこう

この青いコニーを最初に復元した当時は、まだ業務でお付き合いのあった大手塗料メーカーへお願いして
特別に1台分を調合してもらってからラインのプロ作業者に塗装&磨き出しをしてもらったんだけど、
既に大手塗装メーカーとの繋がりは無いしプロ作業者も居ないので今回は自分達で考えてやるしかない。
調色するのって手間が掛かる割になかなか色が合わず苦労するんだよね、フェンダー1枚だと量も多いから
素人が大量に調合して1枚を綺麗に塗り上げるのはかなりの難題かと。
そんな時にインターネット検索で、これは使えそうだという塗料屋さんを見つけたのだ。
この塗料屋さん、サンプルの塗膜片を渡すとその色に合わせて塗料を調合し、更にスプレー缶へ
詰めてくれるという「現色調色スプレー缶」のサービスを行っているとか。

塗料屋さんへ問合せた結果、リーズナブルな値段だったし次の作業日までには手元に届きそうなので、
購入を即決してサンプル塗膜片を郵送したのであった。
で、数週間後に送られてきたスプレー缶がこれ。

小さい容器はタッチアップ用、助かります! 試し塗りで色調を確認、良い感じです
小さい容器はタッチアップ用、助かります! 試し塗りで色調を確認、良い感じです

この「原色調色スプレー缶」サービス、塗布する季節によって塗料の配合具合を調整してくれるみたい。
配合記録を残してくれるとの事なので、もしフェンダー以外を塗る場合は追加発注が簡単にできそう。
扱いが楽なスプレー缶なので、これなら今まで億劫だった塗装も気軽に行えるかと。



さあ準備は整った、綺麗に直すぞ!

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