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「乗っちゃうか」


せっかく動くんだから、バラす前に取り敢えず乗っちゃうか。
作業部屋の奥から屋外に押し出したんだけど、
うーん、日の光の下で見るとボディーの腐食部分が気になる。



気を取り直して、ドアを開けて運転席に潜り込んでみた。
あれれ、何かドアの閉まり方が変。
開ける時は家の扉みたいにレバー状のノブを回すのだが、閉める時も
回してから閉じてやらないとラッチに弾かれて閉まってくれない構造。
ドアのストッパーが皮ベルトなのも変。

ハンドルを握り、コラムのシフトレバーを動かしてみる。ちょっと、ガタガタ。
「シフトパターンに気を付けてね」と発起人氏の声。
シフトパターンが普通のコラムシフトと違い、発進時にローギヤへ入れるつもりで
手前の上側へシフトすると、いきなりバックしちゃうわけかい。


パーキングブレーキはフロアに、でも運転席の右側なのだ。
コラム下にステッキ式のレバーを付けようという発想がまだ無かったのかな、でもここなら邪魔にならないね。



ふと見上げると、頭上のルーフ前端(FRガラスの上)にルーバーが付いてる。
レバーを動かしてみると、パタンパタン。
おー、ベンチレーションじゃないですか!
これは便利、新鮮な外気が直接顔に当たる構造なんだね。



窓ガラスは当時珍しかった昇降式(普通は横スライドだった)、レギュレータハンドルを
グルグル回すのは現代の車と変わりないね。



左の足元に出っ張り、なんじゃこれ?
ライトのハイロービームの切替えだって、ほんとかよ。
もちろん、左足で踏み付ける構造らしい。



メータはスピードだけの独立単眼式。かっこいー!
でも燃料計が見当たらない。ガソリン残量はどうやって見るのかいな。



さてさて珍しい物にすっかり目を奪われてしまったけど、いざ試乗。
イグニッションはキーを差し込んで回すタイプだから、今の車と同じだね。
イグニッションをオンにして、アクセルペダルをペコペコ踏んだ後に
キーを回してエンジン始動。
さすがに整備されているだけあって、数回のクランキング後にすんなり回り出した。
軽やかなエンジン音はAF7とほぼ一緒。形式が違うものの、水平対向2気筒で
排気量も似たようなものだから当り前か。
ペカペカの踏み応え無いクラッチペダルを踏ん付け、シフトレバーを間違えないよう
1stギヤに入れて発進。
ガクンと繋がってしまったけど、とにかく走り始めた。
1stで20km/hぐらいまで引張り、ダブルクラッチを踏んでから2ndへシフトアップ、
シンクロ機構が付いてるから本当はダブルクラッチなんて必要ないかもしれないけど
御約束ですから。

会社の敷地内を200mぐらい周回してみたんだけど、我々のAF7より元気が良いみたい。
3rdまでシフトアップしたら、ちゃんとメータ読みで50km/hぐらい出たからね。
エンジンもオーバーホールされているのかな?






さてと、試乗で満足したからにはバラバラ作戦を始めますか。

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