ヴィンテージ・セレクション

気まぐれに、愛知機械工業の昔を紹介するページです

007 ・・・ コニーの装備品


愛知機械にまつわる小ネタを紹介しているヴィンテージセレクション。
今回は、クルマに付いている装備品について取り上げます。
ネタの元は、1967年に作成されたセールスカタログから。



装備品その1:自動クラッチ装置


内燃機関を搭載した車には、停車時でもエンジンが回り続けられる様に動力を切り離すクラッチが必要です。
初心者にはクラッチ操作が難しい事と運転時の疲労低減のために、クラッチ操作を自動化する様々な試行錯誤がありました。

コニーグッピーは、トルクコンバーター(流体変速機)を使いクラッチ操作を不要にしました。
ただしギヤによる変速機構が無いために、常にトップギアで発進している状態になり加速が鈍いのが欠点。
このタイプは、ギヤの多段化を図った製品(登坂や合流時など必要に応じギヤチェンジを手動で行なう)が他社より80年代初頭まで販売されていました。

その後コニーのF7型に採用されたのが、今回紹介する“サキソマット”です。
サキソマットとはドイツ・ザックス社の製品で、遠心力とエンジンの負圧を使ってクラッチの入り切りを制御するので、クラッチ操作が不用になります。
また、普通の摩擦式クラッチを使用しているため、トルクコンバーター式に比べてクラッチ部分の伝達損失が少なく、加速や燃費に優れる特徴もありました。
ただしギヤチェンジは手動で行なう必要があり、ちょっと中途半端。
それでも他社の軽自動車には、安価な電磁クラッチ[電磁石の吸着力を利用]を使った自動クラッチ装置が、こちらも80年代初頭まで残っていました。
この“サキソマット”付きの車は、他社からもいろいろ販売されていましたが実働する個体は残っているのでしょうか。
実際に作動する所を体験してみたいものです。



“運転の簡単な車を・・・”とお望みの方にお奨めしたいサキソマット付コニー360



ギヤチェンジは普通の車と同じで、めんどうなクラッチ操作を自動化して、クラッチペダルを無くした2ペダルです。
アクセルペダルを踏むだけでスムーズにスタート、あとはやゝ大き目のブレーキペダルを踏んでストップ。ペダル操作はこれだけです。驚くほど簡単に運転出来ます。めんどうなクラッチ操作がないので、それだけ運転疲れがありません。
手軽るな運転をお望みの方、発進・停止という小きざみな運転が多い市街地の方、疲れ知らずの長時間運転をお望みの方には、ピッタリの車です。


SAXOMAT サキソマット付コニー360の特徴

 ●アクセルとブレーキだけの2ペダルですから運転操作はグンと楽です。
 ●スタートから停止まで、誰でもスムーズな運転が出来ます。
 ●発進の時も、急ブレーキの時も、エンストはありません。
 ●燃費も加速もクラッチペダルが付いている普通の車と変りません。
 ●エンジンブレーキは確実に作用します。


自動クラッチ装置


優れた機構のサキソマットから生まれる数々の特徴

コニーサキソマットは、遠心力とエンジン吸入管に生ずる真空圧力(負庄)を利用した、動作の確実な真空機械式自動クラッチです。
その機構は、クラッチ本体とこれをコントロールする制御装置とによって構成されており、本体はボンネット内部に、制御装置のスイッチはチェンジレバーにそれぞれ設置されています。

クラッチ本体は次の3機構からなりクラッチ作用を自動的に行います。
〈発進クラッチ〉 発進時にクラッチをスムーズに接続します。
〈変速クラッチ〉 変速時のクラッチの継続を適切にします。
〈パーキングロック〉 エンジンブレーキ作用を確実にします。


SAXOMAT

発進

ギヤをローに入れたまま、アクセルを踏むだけでスムーズに発進。エンストはありません。

エンジンの回転により生ずる遠心力でクラッチが断続します。
エンジンが毎分800回転前後のアイドリングの時はクラッチは切れていますが、アクセルを踏んで回転が上ると、1,100回転前後からクラッチが接続し初め、車は除々に動き出し、約1,600回転で完全にクラッチは接続します。従って発進がごくスムーズ、坂道の発進も容易です。また、急ブレーキをかけてもエンジン回l転数が落ちてクラッチが切れますからエンストはありません。

変速

アクセルをもどし、チェンジレバーを入れ変えるだけ。

チェンジレバーを握ると、変速クラッチの制御装置のスイッチが入り、自動的にクラッチが切れます。ギヤチェンジ後は一般のクラッチと同じですから、アクセルを踏み込みます。
ギヤチェンジは普通の車と全く同じですから、トルクコンバータ式の2ペダルと異り、燃料消費率は悪くなりません。また加速の状態も同じです。



 

ブレーキ

エンジンブレーキも確実に掛ります。

エンジン回転数の変化に応じてエンジンプレーキが作用する、特殊なロック装置を採用しています。駐車時のブレーキ作用、押しかけも出来ます。









 




<<< Back >>> Next