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「あれです。」 農家の御主人の指は、木々の間に無造作に置かれた小屋の様な物の1つを指しているみたい。 よく見ると青っぽく見えた小屋の壁は、実は車のボディーだったのだ。 |
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「うへー!なんじゃこれ。小さいな!」 助っ人は殆どが20歳代、昔の小さな軽自動車なんて見た事がない。ましてやコニーがどんな形をしているのかさえも知らなかったのだ。 |
そもそも何故このコニーを発見し譲り受ける事になったのか、であるが。 救出活動の発起人は、舟遊びが大好き。毎週のように隣接する池で自作の一人乗りヨットを楽しんでいたのであったが、一人乗りといえど持ち運びは大変。そこで件の農家に係留させてもらおうと訪ねたそうな。 家に上がり込んだ発起人氏は、庭先に朽ちかけた物が置かれているのを発見。 「うーん、あれはコニーか?」 若かりし頃から自動車の設計に携わっている発起人氏の目は、その朽ちた物体を正確に判別したのであった。 発起人氏の勤務先は愛知機械工業。 自社の製品が朽ち果てていくのを忍びなく思った熱血技術者は、御主人と交渉。この勇気ある(?)行動によりコニー360、AF7という車種記号で呼ばれていたこの幸運な車は、日の目を見る事となったのであった。 農家の御主人のお話を聞くと、このコニーは10年間乗っていたもので、廃車後は農具を収める小屋として使っていたとか。 そしてこの場所に置かれてから10年以上もの歳月が経過していたのであった。 |
車の上に乗せられていた板や古タイヤ、周辺の雑草等を取り除くと、車の全景が見えてきた。 「なかなか良い状態じゃないかい。」 記念写真なんか撮って、上機嫌の一同。 |
ところが油断大敵! 押し出そうと車体に手を掛けた助っ人の一人が叫んだ。 「あっ、取れちゃった・・・。」 つづく。
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