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+ No154 + 「残る大物」


鉄板部分で残った大物部品は、ルーフとフロント廻り。
ガラスが一体となったルーフ部分は一見すると大きな凹みも無く、
このまま色塗って終りじゃんと思っていたのだが、よくよく見てみるとポツポツと小さな錆。
旧東ドイツ製トラバントの様にルーフが段ボール製だったら錆も出てこないのにと思いながら
グラインダーで削り落とそうと試みた。が、残念ながら小さな錆は貫通した穴。
じゃあパテを盛って埋めてしまうかい、どうせルーフの曲面も所々歪んでいて修正が必要だから
パテで曲面修正と穴埋めを同時にやってしまえば良いや、なんて気軽に始めたパテ盛りだったが
こいつが思った以上に厄介だったのである。
盛った後はヤスリ紙で研ぎ出しをするのだが、ルーフは絞り込んだ綺麗な曲面なだけに、プロの様に
綺麗な面なんて簡単には作れない。
盛っては研いで、研いでは盛ってを繰り返すこと数十回、なんとか誤魔化せるぐらいの面に仕上げられたかな。


最後に残ったフロントフェンダーはグリル周りも一体でヘッドライトも組み込まれているモジュール構造、
分割出来るみたいだが特に支障が無さそうだったので、一体のまま作業を進めることにした。
可哀相に塀にでもぶつかったのか傷跡が残る左前部は、盛って削った修正痕があって
更にシャシーへのマウント部も現物に合せて歪んだまま無理に穴を空けてある。
手始めに亀裂が入ったグリル部を溶接で繋いで、欠損していた補強用のレインフォースを
鉄板から切出して溶接してみた。マウント部も板金修正して、左右が同じ形状になるよう修復。
簡易板金で形を整えたら錆止めも兼ねて下塗り塗装を施してやったのだが、
塗装を吹いてみると凹みが浮き出てきたので、後で修正するためプロみたいにチョークで丸付け。
それにしても、修正箇所がたくさんあるなあ。

ちょうどその頃、会社の恒例行事「愛知機械テクニカルフェアー」が開催されることになった。
開催の告知を聞いた時は、まだ完成に程遠いので今回は参加できないねえと悠長に構えていたのだが
「社内支援者の皆さんへ経過報告を兼ねてお披露目をしよう」と発起人氏。
急遽、バラバラにしてあった車体を仮組みして車の形に戻すこととなった。

見た目もボロな物体に観衆から「頑張ってね・・・」と。

テクニカルフェアーの展示を終えた頃、いよいよAF3が目標としてきたイベントの全容が明らかにされた。
1996年1月27日から2日間、横浜みなとみらい21地区に完成したばかりのパシフィコ横浜で開催される
「横浜クラシックカーフェスティバル」という旧車イベントに参加するという話。
今まで参加したイベントとは違って、コニー愛好会の人達と共に十数台の展示を行うという企画だそうな。

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我々クラブからは復元中のAF3の他に完成したAF7と管理を任されたAF11トラックの3台を持ち込むという話に
なってるんだって。横浜って名古屋から随分遠いんだけど、3台もどうやって持って行くのかいな?
そのあたりの調整や段取りは発起人氏に全てお任せ、ついでに復元作業もお任せしちゃおうか、
横浜に行ったら山下公園や中華街に行って・・・と相変わらず呑気なクラブ員達であった。



つづく

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