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「クラブ設立」


活動が始まった時から常に懸案であったのは、復元を進める時に必要となる「費用」の問題。
これまでは業務で受取った報奨金をつぎ込んだり、取材協力の謝礼を充てたり、
同僚にカンパしてもらったり、時には会社側にお願いして何とか負担して貰うというのを繰り返してきた。
もちろん出費は最低限になるように心掛けてきたけれど、遂に財政的に行き詰まってしまったのだ。
今までの様に綱渡り的な資金繰りでは、これから始めようとしている作業に突入しても資金難から
途中で作業中断か自己負担で進めるという道しかなくなってしまうからね。

本来は会社が主体となってコニーの復元を行うのが理想だけど、会社が主体となっちゃうと
自分達の手から離れてしまうから面白くないしね。
何か手はないかな。そうだ!これならどうかな。

我々の会社にも他の企業同様に福利厚生の一環としてクラブ活動というのがあり、どうやら
個々のクラブはそれぞれ会社から補助金の支給を受けているみたい。
そう、そのクラブの一つとして認知してもらって、補助金を受けて復元活動をするという方法。
でも簡単に認めてもらえるのかな?それに本当に補助金を支給してもらえるのだろうか。

まずはクラブ活動って何があるのかを調べてみた。
バスケットボール部、野球部、ソフトボール部、テニス部、バレーボール部、
スキー部、マラソン部、自動車部、空手部、歩行部、魚釣部、
写真部、囲碁部、料理部、茶華道部、アマチュア無線部か、
へー けっこう充実してるんだ。
我々もその仲間に入れてもらえないかなあ、そしたら懸案も解決するのに。

交渉事となったら発起人氏に任せるしかない、クラブ活動を統括する部署へ問合わせたところ、
今までの自主活動の成果から、特別に早期認定をして貰えそうだという感触を得たのであった。
ここはひとつ、クラブ設立の主旨や活動範囲をまとめた申請書類を早急に作成するか。

コニー・グッピー救援、復元クラブ設立趣意書

2年前から自主的に活動してきた「コニー360を復元する会」を、愛知機械の正式な
クラブ活動として認知していただきたく、設立趣意書にて提案申し上げます。

 1.設立目的

(1) かつて愛知機械工業(株)として生産・販売された、文化遺産として価値を認められる車両や製品が人知れず朽ち果てているものを借しみ、これを発見・救援し、次世代へ引き継ぐべく保存可能な状態まで復元すること。
(2) 同様の目的で既に社外、全国で活動中の、愛知機械製の旧車愛好者、特に「全国ジャイアント・コニー愛好会」の復元支援を行う。

 2.活動範囲

<活動順位>
 (1)愛知機械が自社製品として過去の年代に独自に開発・製造・販売した車両や製品
 (2)日産と業務提携で愛知機械が委託開発、生産した旧型車両
 (3)日産圏全体の旧型車両

<活動内容>
 (1)復元作業、修理作業
 (2)復元車両の展示、イベント参加
 (3)社外愛好家との情報交換、交流
 (4)資料の収集、散逸防止

 3.復元のレベル

復元のレベルは、入手した車の現状、資金、工数、時間により、その都度選定する。
 (1)最低限目標:更なる腐食、分解を防止すること
 (2)本来目標:将来の博物館での静態展示に耐えるレベル
 (3)理想目標:可能であれば、動態保存、走行可能レベル

 4.活動の本拠地、活動時間

愛知機械工業港地区内を活動拠点とし、活動時間は昼休み、終業後、休日の随時とする。
 

 5.復元車両・資料の保存・保管及び所有権

(以下割愛)
どこかで見たなと気付いたかも。そう、「復元クラブ紹介」のページで一部紹介してたね。

設立申請書を提出してから数日後には
「クラブを承認し、助成基準に従って補助します」という嬉しい回答を受け取ったのであった。
もちろん補助金の方も、年間数万円ではあるものの受けられることとなった。
ほっと胸を撫で下ろしたんだけど、よしよし、さっそくクラブのシンボルマークでも決めてしまおうか、と悪乗り。
社内のデザイナーにお願いして、こんなイラストをデザインしてもらったのだ!

題材はAF3コニーなのさ

活動が会社から認められた上に資金の心配も無くなり、また立派なクラブのマークも決まって、
さてこれで安心して作業できるという状況になったところへ、
またまた我々を惑わせる一本の電話が掛かってきたのであった。



つづく

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