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「プラモ?」


さてさて次は、キャビン部分に取り掛かるか。
パーツカタログを見ると構造が良く解かる。
車体の前部は、ドア、フロントフェンダー、ルーフ、アンダーフロアーに分割できる・・・、
えっ、屋根が外せる!?
ホントかなぁ、なんか変な構造。

ルーフ ド ア
フロントフェンダー キャビン

昔々の車は屋根が無かったから、この頃はまだ別部品として取り付けるという感覚だったのかもしれない。
それに三輪車時代の生産方式は、丈夫なフレームの上に積み木のように部品を載せていくのが常識だったし。
でもこの構造だと、効率の良い方法で組み立てられるんだよね。
サブラインでそれぞれの分割できる部品毎に組み立てを完成させておき、それを持ち寄って
メインラインで車体に組み付けるという事が出来る。
それって、最近発売される新車ではトレンドとなっている「モジュール生産」方式なんだよね。
メインラインの作業は少ないし、狭い車内での作業も減って組立て効率だけでなく
作業者の負担も少なくなるから、良い事づくめなのさ。

えーっと、そうなると車体部分はこんな事が出来てしまうわけね。
まるで1/1のプラモデル、いやメタルモデルみたい。


まずはドアを外すんだけど、サービスマニュアルによると蝶番のヒンジピンを抜くらしいが
抜いてしまうと後で組み付けるのが大変。特に不具合を起してないから、
そのまま取り付けボルトを外す事にした。
ストッパーの革ストラップも外して一丁あがり、ドアが外れた。

次にFRフェンダーを外そうと取り掛かったのだが、ボルトが錆び錆び。
この錆び付いたボルトとの格闘が、レストア道(?)へ入った人なら誰もが最初にぶち当たる難問で、
苦労するんだよね。我々も前回のAF7の時は悪戦苦闘して不器用な方法でやってたもんです。
昔の車にはまだ溶接ボルトなんて使って無かったから全てが六角ボルト&ナットでの締め付け、
我々が良くやった力技はボルトのサビたネジ部にCRCの様な潤滑剤をたっぷり塗って放置・・・、
頃合いを見計らってメガネレンチで回す・・・、そんなもんじゃビクともせずボルトの山を舐める・・・、
しょうがないからボルトの頭をグラインダーで削り落とす・・・、って事を繰り返してた。
そのうち、「ナット割り」という名の工具(ナットを挟んで縦に割る便利ツール)を見つけて
使うようになったんだけど、こいつは場所を選ぶツールなので狭い所では四苦八苦して割ってた。
そんなんで時間ばかり掛かりなかなか進まなかったもんです。
しかーし、その「道」の先輩から裏技を教えてもらったのだ。
それは最初からボルトの錆びたネジ山を削り落として、それから
ナットを緩めてやれば簡単に外せてしまうというお話。
ボルト
なるほど考えてみれば当り前、レストアラ-の世界では常識だったみたい。
今回はその技を駆使して、楽々フェンダーのサブASSYを外す事に成功です。

前廻り

次にルーフ部分、固定しているたった4ヶ所!のボルトとナットを外して、よっこらしょっ と
4人で人間リフトしました。
うーん、こんなこと今の車じゃあ絶対できないね。だって屋根も強度部材として
設計されて安全ボディーになってるんだから。
この車、屋根が外せるってことはオープンカーにして走れるのかなあ。

屋 根

というわけで、めでたくボディーがバラバラになったのでした。



つづく

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