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第22回 「フロアとの闘い」


思っていた以上に酷く穴だらけだった床板、錆を落としてみようとワイヤーブラシでガシガシ削ってみたが、
レインフォースが邪魔で隅まで届かないし表面部分の錆しか落とせない。

こんな姿勢で錆に挑んだけど、とっても難航
こんな姿勢で錆に挑んだけど、とっても難航

やはり床板をシャシーから取外してやるしかない、スポット溶接の打点部をドリルで“揉んで”
床板を剥がしてみた。

これなら作業も楽に進められるはず と思ったが、ちょっと手強いか
これなら作業も楽に進められるはず と思ったが、ちょっと手強いか

床板が外されて剥き出しになったシャシー前部、残ったレインフォースが変形し破断しているのを発見。
このレインフォースもシャシーから分離して修復ですな。

分離したらシャシー前部が何も無くなった レインフォース単体を修正し錆取り塗装
分離したらシャシー前部が何も無くなった レインフォース単体を修正し錆取り塗装

シャシー側の変形も修正、錆取りをしてからレインフォースを溶接して元に戻してあげました。

レインフォースを溶接してます なんとか上手く元に戻せました
レインフォースを溶接してます なんとか上手く元に戻せました

さて穴だらけの床板、こいつはどうしたもんかな。
取り敢えず錆で腐った部分をカットして鉄板を継ぎ接ぎしてみたが、なんとも不細工になりそうな雰囲気。

鉄板の継ぎ接ぎ溶接はゴテゴテな仕上り シャシーに戻してみたが、イマイチ…
鉄板の継ぎ接ぎ溶接はゴテゴテな仕上り シャシーに戻してみたが、イマイチ…

あまりの出来の悪さにこのまま続ける気を無くしてしまい中断、気分転換でフロア以外の作業へ逃避。

その後は床板の事なんかすっかり忘れていたのだが、暫く経ってとんでもない話しが舞い込んできた。
ちょっとこのままバラバラ状態じゃ非常にマズい、床板修復も先送りなんかにしておけない事態となり
再び取り組む事になった。すぐに進められる方法へ方針転換せねば。

もう継ぎ接ぎなんかは諦めて、思い切って一から作り直しとしよう。
ついでに床面は凸形状のリブが入っていたにも関わらず乗員の体重に耐え切れず湾曲するほど弱かったから、
強度UPで鉄板の厚みをオリジナルの0.8㎜から1.2㎜へ変更しちゃうか。

1.2㎜の鉄板を切出してシャシーへ仮組み
1.2㎜の鉄板を切出してシャシーへ仮組み

板厚増の床板に足を乗せてバンバン踏んでみたが大丈夫そう、このままでも良いのだがやはり凸形状のリブは欲しいところ。
だけど悲しいかな板金で絞り出す技術が無い。どうしたもんかなと考えていて、閃いた!

まずは鉄板をリブ形状に切出し 位置決めしてからフロアへ貼付けよう
まずは鉄板をリブ形状に切出し 位置決めしてからフロアへ貼付けよう

リブ形状の鉄板を鉄板用強力接着剤で貼付けてシャシーに溶接し塗装したら、全く見分けが付かない完璧な出来上がり。
 これなら形を再現できただけでなく、強度も更にUPして良い事尽くめと自画自賛。

リブを艤装しました(偽装じゃないです)
リブを艤装しました(偽装じゃないです)

そうそう、床板修復を中断して気分転換で行っていた作業も鉄板加工での物造り。
前輪廻り分解時に無い事に気付いた前輪フォーク固定用の廻り止めワッシャを製作。

前輪フォーク部の固定構造 倉庫から偶然見つかった“青焼き”図面
前輪フォーク部の固定構造 倉庫から偶然見つかった“青焼き”図面

鉄板に青タックを塗って部品形状をケガキ ハンドワークで形状を切出し 青タックを除去、中心部を折り曲げて完成
鉄板に青タックを塗って部品形状をケガキ ハンドワークで形状を切出し 青タックを除去、中心部を折り曲げて完成

他にも簡単そうな作業へ逃避していたっけ。
前輪廻り関係部品の錆落しは、削って磨いて塗ってと単純作業で済むからね。

前輪フォーク外筒はサンドブラストで錆を除去してからプラサフ塗装 前輪フォーク外筒はサンドブラストで錆を除去してからプラサフ塗装
前輪フォーク外筒はサンドブラストで錆を除去してからプラサフ塗装
前輪のフェンダーは大き過ぎてサンドブラストのキャビネットに入らず、 前輪のフェンダーは大き過ぎてサンドブラストのキャビネットに入らず、
前輪のフェンダーは大き過ぎてサンドブラストのキャビネットに入らず、
止むを得ずエアサンダーで削って錆を除去しプラサフ塗装。



というわけで気の向くままにゆっくり進すめるつもりだったのだが、そうも言っていられなくなった。
次回は、急に舞い込んできたとんでもない話について。

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